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目前にせまる物流の2024年問題

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いよいよ「2024年問題」と呼ばれる様々な懸念事項が生じるきっかけになると思われる「自動車運転業務の時間外労働上限規制の適用」まであと一ヶ月をきりました。働き方改革関連法に基づき長時間労働の問題に対処する一環で、過度な労働時間を防ぎ労働者の疲労を軽減し交通安全を向上させることを目的として、『年間960時間を超える時間外労働は禁止』されます。(ただし、36協定の締結が条件。またこの規制に月単位の上限はなし)

この規制によって物流業界には大きな影響があると予想されています。具体的には【運送会社の利益の減少】【ドライバーの給与の減少やそれに伴う離職】【長距離輸送の困難化】などです。

 

 

日本は労働生産性が諸外国と比べて極めて低く、過去20年以上続いている上コロナ禍でさらに下げてしまった経緯があります。その原因の一つが長時間労働を尊いものと考えてしまう日本人の国民性にあることから、2024年問題は『長時間労働に頼らずとも生産性を上げる努力や工夫を企業や国民にお願いしたい』政府が仕掛けたものだと分析する人もいます。
しかし物流業界は日本の少子高齢化による労働人口減少や、「収入が低い」「労働環境が悪い」といった問題とさらに膨らんだイメージが作用して自然発生したドライバー不足という課題を長年抱えており、しかも代表的な労働集約型産業(人の労働力への依存度が高く、お金や機械・設備よりも人間の手による仕事量が多い産業)であるがゆえに、労働者に長時間労働を強いるだけで工夫をこらさずとも売上を拡大させてきてしまいました。バブル崩壊後の景気低迷時には立場の強い荷主による運賃の買いたたきや過剰な附帯サービス要求が横行したことで、長時間労働はそのままに収入だけが下がっていったという背景もあり、このまま何も変わらない状態で時間外労働の規制だけがされると運送業界はその弊害としてのドライバー不足も重ねて負うこととなって人手不足に拍車をかけることになってしまいます。

さらにそのドライバー不足を放置すれば2030年には輸送能力の19.5%が不足する(今の荷量の3割程度が輸送できない状況になる)という試算もでていて、運送会社と荷主のパワーバランスが変わる可能性もあることから、結果手間のかかる・時間のかかる貨物は敬遠される事態となることも考えられます。するとモノが運べない・モノが作れないという状況がでてくることになります。

 

 

だからといって、人手不足の原因が売上・給料が低いこと又減少することにあるなら収入アップするようにすれば良いという単純な話ではありません。生産性向上が伴わないドライバーの収入アップは運賃引き上げひいてはさらなる物価上昇に直結することになるため結局ドライバー自身の生活を苦しくしてしまいますし、労働人口が減少の一途をたどっている日本においては特定の業種や業界に人を集めると今度は他の業界で人手不足が発生してしまうことになります。

 

 

すぐに時間外労働上限規制に対応することは現実的に難しいとして、この業界には5年間の猶予期間が与えられていたわけですが、皆さんはどんな対策をされてきましたか?取り組みやすく効率的な方法として一般貨物では『「中継輸送」や「パレット化」を活用したドライバー業務の効率化』『荷物の集約・満載で業務効率化とコスト削減を目指す運行計画の見直し』『予約システム導入や高速道路活用による荷待ち時間・輸送時間などのタイムロス削減』『運賃改定や運行時間の変更といった荷主への対応依頼』などが挙げられて薦められています。全日本トラック協会も荷主に対して荷待ち時間の削減や附帯作業の負担軽減を呼び掛けるなどの対応を行っており、その点からも業界全体への影響の深刻度がうかがえますが、対策は充分とはいえないようです。

 

 

軽貨物運送業に焦点をあてて見た時、2024年問題はどう見えるでしょう?
軽貨物運送会社の従業員という形の場合は今回の労働時間規制の対象になりますが、基本的に個人事業主である軽貨物ドライバーはじつはこの規制の対象外です。一般貨物で運べなくなった荷物が細分化されることになり案件が増えたり、参入しやすく又これまでのスキルが活かせる軽貨物へと一般貨物のドライバーが転身してくる可能性も考えられるなど、軽貨物運送業にとっては2024年問題がプラスに働くと前向きに捉えられている所もあります。しかし、一般貨物に比べれば案件の多様化から老若男女問わず働ける場となっていたり、一般軽乗用車も黒ナンバー取得でき配送業務を可能にした「軽貨物車両の自由化」で車両不足解消の施策もされているとはいえ、軽貨物運送業でもドライバー不足は一般貨物と同じように抱えてきた問題です。一般貨物のドライバーが転身してきたところで新たに任されることになる案件すべてに対応できるとは思えませんし、そうすれば一般貨物のドライバーはますます人手不足になるばかりです。また柔軟に動ける軽貨物運送業でも軽貨物ではできる業務に限界があります。ですからそんなに楽観視できるものでもないと言えるのではないでしょうか。

 

 

軽貨物運送業も含め運送業では、時間外労働ありきで従業員を働かせないと会社が回らないビジネスモデルであったり、残業しなければ食べていけない給与体系のままであることがまず大きな問題です。あの大手運送会社でさえこれまでどおりの仕組みの維持が困難になってきているとみえ、サービスの品質維持のため今年6月から一部エリアで宅配便の到着予定日を1日遅らせることを発表しています。そんな中でいまだドライバーには「残業しなくても普通に食べていける報酬体系にしてほしい」ではなく「残業しなきゃ食べていけない」むしろ「残業させろ」と考える人が多いのだそうです。そこがなかなか変わらない原因の一つでもあり一番の問題ではないかと考えさせられます。
運送会社・荷主・ドライバーの当事者だけでなく、その恩恵を受けている人も含め社会の全員が意識改革をしたり、魅力ある仕事であると認識してもらえる環境整備と発信を真剣におしすすめることに興味をもって関わることが2024年問題という大きな社会問題を解決する一つの手立てにならないでしょうか。皆さんはあと一ヶ月そして規制適用後とどのように行動しますか?


定期便やスポット便など、お仕事は選択可能です。
出来高制なので高収入を希望される方への案件もたくさん!